主なポイント:
- アルファベットとフェラーリは過去10年間でそれぞれ1000ドルを約1万200ドルに増やした
- アルファベット株は2026年に102%急騰、Google Cloudの売上高が63%増の200億ドルに
- フェラーリは20%下落、出荷台数の減少と関税懸念が重石に
主なポイント:

過去10年間で1000ドルを1万ドルに変えた2銘柄が、今年は正反対の方向に動いた。アルファベットは倍増し、フェラーリは20%下落した。
アルファベット社とフェラーリ社は、過去10年間でそれぞれ1000ドルを約1万200ドルに変えたが、2026年の両社の軌道はこれ以上ないほど明確に分かれた。
「アルファベットのクラウド事業こそが真の成長物語だ。4620億ドルものバックログ(受注残高)が四半期でほぼ倍増した」と、トレフィスのリサーチ責任者であるダグ・ナスマン氏は指摘する。
アルファベットの株価はこの1年で102%上昇した。直近四半期にはGoogle Cloudの売上高が63%増の200億ドルに達したことが牽引役となった。対照的に、フェラーリは約20%下落した。モデルチェンジに伴い出荷台数が3,593台から3,436台に減少したことに加え、欧州車に対する米国の関税への懸念が重しとなった。
この明暗は、2つの対照的な投資テーゼを試すものとなっている。すなわち、アルファベットの巨額インフラ投資(2026年の設備投資額は1,800億~1,900億ドル)が、4,620億ドルのクラウドバックログを持続可能な収益に転換できるのか。それとも、フェラーリの希少性モデルが、新型電気自動車「フェラーリ・ルーチェ」の本格生産開始後に再び勢いを取り戻せるのか。
アルファベットのクラウドエンジン vs. フェラーリの希少性プレミアム
アルファベットは検索広告の独占企業から、AI・クラウドの大手企業へと変貌を遂げ、その財務プロファイルを一変させた。Google Cloudの売上高は初めて200億ドルを超え、前年同期比63%増となった一方、AIアシスタント「Gemini」アプリの月間アクティブユーザー数は9億人に達した。将来の契約収入を示す残存履行義務は4,620億ドルに膨れ上がり、アルファベットの前年度の総売上高を上回った。
しかし、その成長にはコストが伴う。経営陣は「短期的にはコンピュートリソースが制約されている」と認めており、需要が供給能力を上回っている状況だ。アルファベットは2026年に1,800億~1,900億ドルの設備投資を計画しており、2027年にはさらなる増加が見込まれている。第1四半期のフリーキャッシュフローは、支出ペースの加速により前年同期比で46.63%減少した。
フェラーリの戦略は正反対だ。ベネデット・ヴィーニャCEOが掲げる「価値重視・数量抑制」戦略により、2025年度の売上高は72億ユーロ(82億ドル)、EBITマージンは29.5%を達成し、受注残は2027年末まで延びている。2026年にはローマでブランド初のフル電気自動車「フェラーリ・ルーチェ」が発表された。しかし、四半期の出荷台数減少や関税の不透明感といった短期的な逆風が株価の重しとなっている。
バリュエーションと評価
予想PERは25倍、自己資本利益率は38.9%と、アルファベットの株価は成長軌道に比べて割安に取引されている。64人のアナリストのコンセンサスは「買い」で、平均目標株価は443.85ドル。現在の株価362ドル近辺から22.6%の上昇余地を示唆している。
フェラーリの予想PERは33倍と、ブランド力と希少性を反映した水準だ。14人のアナリストが「買い」と評価し、目標株価は443.89ドルで、現在の385ドル近辺から15.3%の上昇余地がある。誤差の許容範囲が狭く、実行上の失敗が許されない構造だ。
アルファベットに対する弱気論は、設備投資の急増がフリーキャッシュフローを圧迫するのではないか、あるいは反トラスト法の判決が構造的な変革を強いるのではないかという点に集中している。一方、フェラーリのリスクは関税のエスカレーションと、電気自動車への移行に対する不透明な市場受容性だ。
現時点では、数字はアルファベットを支持している。クラウドのバックログは可視化された収益パイプラインを提供している一方、フェラーリのプレミアム評価は成長が期待を下回った場合の下落リスクを大きくしている。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。