重要ポイント:
- AlphabetはAIインフラ構築のため、ATM公募増資で800億ドルの調達を計画
- バークシャー・ハサウェイはCEOのグレッグ・アベル体制下で最大となる100億ドルを単一企業に投資
- 今回の大型調達により、マイクロソフトやアマゾンとのAIインフラ投資競争が激化
重要ポイント:

バークシャー・ハサウェイによるAlphabetへの100億ドル出資は、800億ドル規模の増資計画において、AIインフラ投資競争への最も力強い追い風となっている。
AlphabetはATM公募増資を通じて800億ドルを調達する計画で、バークシャー・ハサウェイが100億ドルを出資する。グーグルの親会社である同社はAIインフラ構築を加速させており、まず400億ドルをATMで発行し、残りの400億ドルはフォワード・セール構造で調達する見込みだ。
「これはまさに世代を超えたインフラ構築であり、バークシャーをアンカー投資家に迎えられたことは、我々の野心の規模が正当に評価された証だ」と、Alphabetの最高財務責任者アナト・アシュケナジ氏は語った。
調達資金は、AlphabetのAIデータセンター、カスタムTPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)、クラウド・コンピューティング能力の拡張に充てられる。今回の800億ドルの増資は、米国企業史上最大級のエクイティ・キャピタル・レイズの一つであり、2022年のメタ・プラットフォームズによる100億ドルの社債発行を上回り、2020年のアマゾンによる185億ドルの社債発行に迫る規模である。
今回の資金注入は、Alphabetがマイクロソッドやアマゾン・ドット・コムと競合する中で行われた。マッキンゼー・アンド・カンパニーは、2027年までにAIインフラへの累積投資額が5000億ドルに達すると試算している。Alphabet株のフォワードPERは22倍で、マイクロソフトの31倍、アマゾンの35倍を下回っており、市場はAIの成長機会を完全には価格に織り込んでいない可能性がある。
バークシャーの賭けが意味するもの
バークシャーにとって、100億ドルの投資は、1月にウォーレン・バフェットから最高経営責任者(CEO)の座を引き継いだグレッグ・アベル体制下での重要な戦略転換を意味する。アベル体制下で初の13F報告書によれば、バークシャーは第1四半期中にAlphabet株を4000万株取得し、同社を上位7位のポートフォリオ保有銘柄に押し上げた。また、バークシャーは合計81億ドル相当の16銘柄を売却し、2024年第3四半期以来最大の純株式売却を実行。一方で現金準備高は過去最高の3970億ドルに膨らんでいる。
今回のAlphabetへの投資は、バークシャーの株式ポートフォリオ全体が縮小傾向にある中でも、アベルCEOが大規模なAIインフラへの資金提供に価値を見出していることを示している。同コングロマリットの完全子会社事業は第1四半期に過去最高の101億ドルの営業利益を計上しており、大型戦略投資のための十分な資金力を有している。
AIインフラ・アームズレース
Alphabetによる800億ドルの調達は、競合他社に同水準の支出を迫る圧力を強めている。マイクロソフトは2023年以来、OpenAIとの提携を含めAIインフラに500億ドル以上を投入。一方アマゾンは今後10年間でデータセンターに1500億ドルを投じる計画だ。大半のAIワークロードを支えるGPUを供給するエヌビディアのデータセンター向け売上高は、過去4四半期で475億ドルに急増し、2年前の150億ドルから3倍以上に拡大している。
Alphabetの調達規模の大きさは、同社がAIインフラコストの高止まりが今後も長期間続くと見込んでいることを示唆する。業界推計によれば、単一の大規模言語モデル(LLM)のトレーニングには、コンピューティング費用だけで1億〜5億ドルかかる可能性があり、Alphabetは「Gemini」や今後のプロジェクトを含む複数のモデルを運用している。
今回の発表を受け、Alphabet株は時間外取引で上昇した。同株の過去12カ月の上昇率は18%で、マイクロソフトの22%、エヌビディアの65%には及ばない。しかし、AlphabetがAIインフラ計画を実行に移せば、モルガン・スタンレーのアナリストは、同社のクラウド売上高が2028年までに600億ドルに達すると予測している。直近12カ月のクラウド売上高は430億ドルである。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。