Key Takeaways
- アウトドアウェアメーカーの本福自然(旧ブランド名:伯希和/Pelliot)が、3度目となる香港IPOを申請しました。
- 積極的なマーケティングにより、2023年から2025年にかけて売上高は年平均75.38%で成長し、27.9億元に達しました。
- 在庫回転日数が189日から264日へと大幅に悪化し、在庫総額は8.7億元にまで膨らんでいます。
Key Takeaways

中国のアウトドアウェア企業である本福自然(Benfu Ziran)が、3度目となる香港IPO(新規株式公開)に挑戦しています。同社は75%の複合収益成長を報告する一方で、在庫の急増とマーケティング支出への過度な依存によるリスクについても警鐘を鳴らしています。
5月8日に提出された目論見書によると、「当社はアセットライトなビジネスモデルを運用しており、自社の生産施設を保有していない」とし、2025年時点で155社の委託先メーカーと提携していることが記されています。
中金公司(CICC)と中信証券(CITIC Securities)が共同スポンサーを務めるこの申請書類によれば、売上高は2023年の9.08億元から2025年には27.9億元へと急増しました。しかし、販売・流通費用は10.6億元に達し、売上高の38%を占めたことで、調整後純利益率は同期間に17.2%から14.6%に低下しました。
今回のIPOの目的は、実店舗展開の拡大資金を調達することです。目論見書によれば、2025年の在庫が8.7億元にまで膨らむ中、この動きは高成長・低利益モデルに対する投資家の意欲を試すものとなります。
目覚ましい収益成長の裏で、同社の運営効率にはひずみが見られます。在庫水準は2023年の2.38億元から2025年には8.7億元へと上昇し、回転日数は189日から264日へと長期化しました。これにより、2025年には5,271万元の在庫評価損が発生しており、これは2年前から211%の増加で、在庫の陳腐化と価格低下圧力の重大なリスクを示唆しています。
同社は最近、「偽の外資系ブランド」というイメージを払拭するため、ブランド名を伯希和(Pelliot)から本福自然へと変更しました。サプライチェーンは完全にOEM(受託製造)に依存しています。製品構成は、売上高の83.7%を占めるマス市場向けの「クラシックシリーズ」に大きく偏っており、「プロフェッショナル・パフォーマンス」ラインはわずか7.7%に留まっています。このため、アークテリクス(Arc'teryx)のような高級グローバルブランドと、デカトロン(Decathlon)のようなマス市場の巨人との間で板挟みになる不安定な立場にあります。
リスクはあるものの、本福自然は著名な投資家を引きつけてきました。テンセント(騰訊)は2025年3月に3億元を投資し、啓明創投(Qiming Venture Partners)などの初期の支援者に加わり、第4位の株主となりました。同社はIPOで得た資金を、消費者直販(D2C)のオフライン小売拠点の構築とブランド変革に充てる計画です。
今回の売り出しは、運営指標が脆弱な高成長中国消費ブランドに対する投資家意欲の重要な試金石となります。上場初日の取引は、市場が売上高の成長を重視するのか、あるいは在庫リスクや収益性の低下を懸念するのかを測る重要な指標となるでしょう。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を構成するものではありません。