重要ポイント:
- アンカレッジ・デジタルが自社のオフチェーン決済プラットフォーム「Atlas」をバイナンスと統合
- 機関投資家はバイナンスで取引しながら、資産をアンカレッジの分別管理下に維持可能
- このモデルはFTX破綻以降の主要な障壁であった取引所のカウンターパーティリスクを排除
重要ポイント:

アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)は、自社のオフチェーン決済プラットフォーム「Atlas」をバイナンス(Binance)と統合した。これにより機関投資家は、世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所で取引を行う一方で、資産を米国の連邦認可を受けた暗号資産銀行であるアンカレッジの分別管理下に維持できるようになり、資金を直接バイナンスに預け入れる必要がなくなる。
「機関投資家には、従来の金融ですでに依存している水準を反映した暗号資産市場の構造が必要だ」と、アンカレッジ・デジタルの共同創業者兼CEOであるネイサン・マッコーリー氏は述べた。「Atlasを基盤とするオフチェーン決済は、カストディ(資産管理)とエグゼキューション(執行)を分離するように設計されており、機関投資家が資産を安全なカストディ下に置きながら、取引所の流動性にアクセスできるようにする」
この取り決めの下で、機関投資家はアンカレッジに預けられた暗号資産または米ドル預金を担保として差し入れ、バイナンスの証拠金要件を満たすことができる。資産を事前に取引所に移す必要はない。このモデルは、カストディと執行が分離され、資産が最終決済時にのみ移転される従来市場での機関投資家の取引の仕組みを反映している。適格担保には、ブラックロックのBUIDL、サークルのUSYC、フランクリン・テンプルトンのiBENJIなどのトークン化された実世界資産も含まれると両社は発表している。
今回の統合は、2022年のFTX破綻以降、機関資金の参入を阻んできた構造的な障壁、すなわち取引所のカウンターパーティリスクに対処するものだ。バイナンスは2023年に初めて三者間バンキングを試験導入し、その後も銀行提携ネットワークを拡大し続けている。アンカレッジとの統合は、Atlasにとって初の取引所統合となる。Atlasはトレーディング、レンディング、担保管理、その他資本市場ワークフローをサポートするように設計されている。アンドリーセン・ホロウィッツ、ゴールドマン・サックス、KKR、GIC、ビザなどが出資するアンカレッジ・デジタルの評価額は42億ドル(約6300億円)に上る。
この提携は、暗号資産取引所がカストディ分離型の取引を提供する幅広い動きに続くものだ。ビットメックス(BitMEX)は4月にゾディア・カストディ(Zodia Custody)と統合し、機関投資家がデリバティブ取引を行いながら担保を分別カストディに維持できるようにした。ビットゲット(Bitget)は6月にファイアブロックス・オフエクスチェンジ(Fireblocks Off Exchange)を通じて同様のモデルを採用し、クーコイン・インスティテューショナル(KuCoin Institutional)は1月にセフー(Ceffu)のMirrorXプラットフォームを統合した。いずれの仕組みも、取引所口座への事前資金提供の必要性を排除し、運用リスクを低減し、プロトレーダーの資本効率を向上させる。
「アンカレッジ・デジタルとの連携により、機関投資家は、従来の金融市場により近いモデルを通じてカストディと担保を管理しながら、バイナンスの流動性にアクセスする新たな手段を得られる」と、バイナンスのVIP・機関部門責任者であるキャサリン・チェン氏は述べた。本サービスの利用は当初、適格な機関投資家およびプロ投資家に限定されており、提携の財務条件は非開示とされている。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。