主なポイント:
- ENEOS、イラン戦争による中東供給途絶を受け、9月までの代替原油供給を確保
- 日本は2025年に原油輸入の94%を中東に依存、ホルムズ海峡の混乱に脆弱
- 同社は2027年度までに製油所稼働率を90%に引き上げ、政府支援のもと供給源の多様化を推進
主なポイント:

日本の最大手精油業者は、イラン戦争によりホルムズ海峡へのアクセスが断たれ、同国の中東石油依存度94%という脆弱性が露呈する中、9月までの代替原油供給を確保した。
ENEOSホールディングスは、イラン戦争による中東からの出荷混乱を受け、9月までの十分な代替原油供給を確保した。ただし、この紛争により第1四半期の製油所稼働率は計画していた86%から81%に低下した。
「9月までの供給見通しは良好だ。状況は大幅に安定化している」と、ENEOSの田中総一郎最高財務責任者(CFO)は木曜日のインタビューで述べた。
田中氏によれば、同社は失われた数量を主に米国原油で代替し、ホルムズ海峡を迂回するルートで中東からの供給を確保したほか、アゼルバイジャンからも小規模な数量を購入した。日本は2025年に原油輸入の94%を中東に依存しており、2月下旬に始まった紛争の影響を大きく受ける立場にある。この海峡は、混乱以前は世界の石油取引の約5分の1を扱っていた。
「リスクヘッジと国家のエネルギー安全保障の観点から、中長期的に中東依存度を低減することが望ましいことは間違いない」と田中氏は述べたが、エネルギー安全保障と経済的持続可能性のバランスを取る必要性を強調した。ENEOSは2027年度までに製油所稼働率を90%に引き上げる目標を掲げているが、中東の長期的な不安定化がこの目標達成を困難にする可能性がある。
この混乱による製油所への影響は第1四半期にとどまらない。田中氏によると、4月から6月期の稼働率も当初計画を下回ったが、詳細は明らかにしなかった。操業率低下の影響は限定的で、海外の石油製品価格の上昇が損失を一部相殺した。
「全体的に影響はややマイナスだが、収益に大きな打撃にはなっていない」と田中氏は述べた。
日本は、産油国との長年にわたる関係、政府の支援、そして官民双方が保有する大規模な戦略的石油備蓄により、安定した石油供給を維持してきたと田中氏は説明する。これらの備蓄は、危機的な状況下での深刻な供給不足を防ぐのに役立っている。
多様化への取り組みが加速
この混乱は、日本政府と連携した原油調達の多様化に関する議論を促す可能性が高いと田中氏は述べた。「中長期的にどのように供給源を多様化できるか、政府と協力して経済的な持続可能性を確保しながら模索していく」
多様化への動きが加速する背景には、国際エネルギー機関(IEA)が5月に発表した、世界の石油供給が今年の総需要に追いつかず、在庫が前例のないペースで取り崩されているとの見方がある。ブレント原油は5月中旬に1バレル=105.63ドル、米国WTIは101.03ドルで取引され、市場は中東からの持続的な供給リスクを織り込んでいる。
日本がこれに匹敵する供給ショックに直面したのは、1973年の石油危機が最後である。当時、アラブ産油国による禁輸措置で原油価格は4倍に高騰し、東京はエネルギー多様化を積極的に推進せざるを得なくなった。この転換は最終的に原子力発電とLNGインフラへの大型投資につながった。今回の危機も同様の構造転換を引き起こす可能性があり、今回は米国原油や非中東供給源へのシフトが焦点となるが、田中氏はあらゆる転換は経済的に持続可能でなければならないと警告した。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。