金の回復は4,540ドルを下回る水準で失速。イスラエルとヒズボラの部分的な停戦合意が安全資産需要を抑制し、トレーダーは米雇用統計を次の材料として待つ。
金の回復は4,540ドルを下回る水準で失速。イスラエルとヒズボラの部分的な停戦合意が安全資産需要を抑制し、トレーダーは米雇用統計を次の材料として待つ。

金価格の4,500ドル超への回復は、火曜日に失速した。イスラエルとヒズボラの部分的な停戦合意が安全資産としての資金流入を和らげ、金は5月の取引レンジ内に留まっている。
COMEX金は欧州午後の取引で0.9%上昇し、1オンス=4,530ドルとなった。月曜日の1%下落から戻す動きを見せたものの、4,540ドルのレジスタンス水準を突破するには至らなかった。ブルームバーグのデータによると、米ドル指数は0.1%下落し99.05となり、ドル建ての金には一定の支援材料となった。
「イスラエルとヒズボラの部分停戦により、金の地政学的プレミアムは即座に縮小したが、中東情勢の全体像はなお解決されていない」とサクソバンクの商品戦略責任者、オーレ・ハンセン氏は述べた。「投資家は今週の米雇用統計を前に、新たなロングポジションを積み増すことに慎重だ」。
イスラエルとヒズボラは月曜日に部分停戦で合意。ドナルド・トランプ米大統領は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がベイルート攻撃計画を凍結したと述べた。この進展により、安全資産としての米ドルの一段の上昇は抑制されたものの、米・イラン和平交渉は停滞し、ホルムズ海峡は閉鎖されたままで再開の見通しは立っておらず、リスク選好意欲は低調なままである。
5月の米製造業データは堅調な景気活動を示し、注目は火曜日に発表予定のJOLTS雇用動態調査と金曜日の非農業部門雇用統計に移っている。これらの雇用データは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性に関する見通しに影響を与える。ユーロ圏のインフレ率が5月に3.2%に加速したことを受け、市場は利上げの可能性を織り込み始めている。
主要な水準が金を狭いレンジに拘束
テクニカル指標によると、4時間足の相対力指数(RSI)は55付近で推移しており、強気のモメンタムを示唆。一方、移動平均収束拡散法(MACD)はプラス圏で、下押し圧力が弱まっていることを示している。即座のレジスタンスは4,590ドルで、5月中旬以降複数回にわたり上値を抑えてきた水準である。このゾーンを上抜ければ、5月安値と4月からの弱気チャネルの上限が交差する4,645ドルが次のターゲットとなる。
下値では、月曜日の安値付近である4,445ドルにサポートがあり、さらに5月のボトムである4,370ドル付近が追加の防衛線となる。4月からの弱気チャネルの下限は4,340ドルである。金は5月初旬以来、250ドルのレンジ内で推移している。4月に付けた52週高値の4,890ドルが、レジスタンス突破時の次の主要な上値目標となる。
取引所データによると、5月下旬時点のCOMEX金在庫は2,850万オンスで、供給サイドの混乱に対する緩衝材となっている。金は中央銀行による買い入れにも支えられており、中国人民銀行(PBOC)は公式データによると5月に10カ月連続で金準備を増やした。
金曜日の非農業部門雇用統計が次の材料となる。予想を上回る結果となればFRBの引き締め政策への期待が強まり金を圧迫する一方、予想を下回れば安全資産需要が再燃し、価格を4,590ドルのレジスタンスに向けて押し上げる可能性がある。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。