GoogleのAI研究陣が薄れつつある。AnthropicとOpenAIが提示するIPO前の株式パッケージに、検索大手の報酬体系は太刀打ちできない。
GoogleのAI研究陣が薄れつつある。AnthropicとOpenAIが提示するIPO前の株式パッケージに、検索大手の報酬体系は太刀打ちできない。

GoogleのAI研究陣が薄れつつある。AnthropicとOpenAIが提示するIPO前の株式パッケージに、検索大手の報酬体系は太刀打ちできない。
少なくとも3人の上級AI研究者がここ数週間でGoogleを離れ、AnthropicとOpenAIに移籍した。Business Insiderが報じたところによれば、両社の株式公開を視野に入れた株式パッケージが引き金となった。
「報酬格差はもはや基本給の問題ではない。Googleの成熟した株式構造では絶対に提供できない、IPO前の株式による潜在的なリターンが問題なのだ」と、ライバルの新興企業に転籍した元Googleの研究科学者は語る。
離職はGoogle DeepMind部門と中核となる検索AIチームに及び、GeminiモデルやPathwaysモデルに貢献した研究者も含まれている。AnthropicとOpenAIは、IPOに向けた準備を進めるなかで、Googleで訓練された人材の採用を加速させている。この傾向は個人の研究者にとどまらず、複数のディレクターやチームリーダーもここ数カ月で相次いで退社している。
人材流出は、AI競争におけるGoogleの競争力を維持する能力を脅かしている。同社はすでにOpenAIのChatGPTやAnthropicのClaudeに後れを取っている。自社のAI投資を基盤に研究を積み上げるためには、研究者の引き留めがより困難な課題となりつつある。
Googleは長年にわたりAI人材の育成の場となってきたが、IPOの窓口が最も資金力のある競合企業に開かれるにつれ、退社のペースは加速している。AnthropicやOpenAIに早期に参加し、株式のごく一部を保有した研究者は、Googleの制限付き株式ユニット(RSU)が提供できる価値の何倍もの株式を手にすることになる。Googleの時価総額はすでに2兆ドルを超えており、スタートアップ株式が提供するような評価額の倍増余地は限られているからだ。
計算は単純だ。Googleの株価は過去1年間レンジ内で推移しており、株式報酬の見込み値上がり益は限定的だ。対照的に、Anthropicは投資銀行と上場について予備協議を行っており、OpenAIの評価額は継続的な資金調達ラウンドで大幅に上昇している。初期段階で株式を保有する研究者にとって、Googleに留まることとIPO前のスタートアップに参加することの差は、数千万ドルにも及ぶ可能性がある。
Googleは定着パッケージや対抗オファーで応じているが、構造的な不利は変わらない。同社の株価はレンジ内で推移しており、株式報酬の見込み値上がり益は限定的だ。一方、AI人材市場は熾烈を極めており、トップクラスの研究者は年収1000万ドルを超える報酬パッケージを要求できる。
また、こうした離職は文化的な変化も反映している。Googleで長年論文を発表してきた研究者たちは、自らの仕事が製品や収益に直接つながるスタートアップに、ますます引き寄せられている。「Googleにいれば、あなたは何千人の中の一人にすぎない。Anthropicなら、あなたは何百人の中の一人で、あなたのコードは数週間のうちに何百万人のユーザーに届く」と、元研究者は語る。
業界全体が注視している。MetaやMicrosoftを含む他の大手テクノロジー企業も、AIスタートアップが巨額の資金調達ラウンドを実施し、公開企業では太刀打ちできない株式パッケージを提供するなかで、人材の引き留めに苦戦している。この構図はGoogleにとって特に深刻だ。同社のDeepMind部門は、競合他社が商品化を目指す基礎的なAI研究の主要な供給源となってきたからだ。
投資家にとって、人材流出はGoogleのAI競争力に疑問を投げかける。主要研究者の離脱が製品投入を遅らせたり、エンタープライズAI市場におけるGoogleの立場を弱めたりすれば、人材と市場シェアの両方を獲得する競合他社から同社は圧力を受けることになる。AnthropicとOpenAIは対照的に、注目度の高い採用を重ねるごとにIPO前のストーリーを強化している。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。