プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、洗濯洗剤の「タイル」型新製品「Tide evo」に賭けている。市場シェア約60%を誇る同ブランドが、消費者に新たな洗剤フォーマットを受け入れさせようとしている。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、洗濯洗剤の「タイル」型新製品「Tide evo」に賭けている。市場シェア約60%を誇る同ブランドが、消費者に新たな洗剤フォーマットを受け入れさせようとしている。

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、洗濯用洗剤の「タイル」型新製品「Tide evo」を投入する。同社は年間20億ドルに上る研究開発予算を投じて、消費者を新フォーマットへと移行させる賭けに出ている。主力ブランドであるTideは既に米国の洗濯洗剤市場の約60%を支配している。
「営業・マーケティングチームにこれを提案した時、矢が飛んできた」。P&Gの年間20億ドルの研究開発費を統括するビクター・アギラー氏は、新技術が販売可能な製品になるかどうかをめぐる社内での長年にわたる議論をこう振り返る。
オハイオ州メイソンのP&Gイノベーションセンターで開発された新製品は、液体洗剤からTideポッドへの切り替えに長年消費者を説得してきた同社の、洗濯洗剤再発明への最新の試みである。自社の布ケア部門営業部隊からの懐疑的な見方は、既存製品がすでに市場を支配している中で消費者の習慣を変えることの難しさを浮き彫りにしている。
P&Gにとって、この賭けは年間数十億ドルの収益を生むフランチャイズを、小規模な競合他社による潜在的な破壊や、持続可能性や包装に関する消費者の嗜好変化から守るという意味を持つ。同社の株価はこのニュースを受けて0.12%下落しており、忠誠心の高い顧客基盤を移行させるコストとリスクに対する投資家の慎重姿勢を反映している。
なぜTideは洗剤を再発明し続けるのか
P&GがTide evoの投入を決断した背景には、変化する消費者トレンドと競争上の脅威に先んじようとする同社の戦略がある。洗濯洗剤市場は粉末から液体、ポッドへと着実に進化しており、それぞれの移行には消費者行動を変えるための巨額のマーケティング投資が必要だった。Tideポッドへの移行だけでも、数年の歳月と数億ドルの広告費を要した。
新しいタイル型フォーマットは、より急進的な転換を意味する。水溶性フィルムに包まれた液体洗剤であるポッドとは異なり、Tide evoは洗濯中に溶ける固形タイルである。このフォーマットはプラスチック包装を完全に排除しており、消費者や規制当局が使い捨てプラスチックを問題視する中で、大きなセールスポイントとなる。
20億ドルの研究開発マシン
アギラー氏が率いる研究部門は、消費財業界でも最大級の規模を誇り、洗剤の化学とフォーマット設計の限界に挑み続けている。業界推計によれば、同社は洗濯関連の研究開発だけでも、多くの競合他社が製品開発全体に費やす金額を上回る投資を行っている。
アギラー氏が語った社内の抵抗は、P&Gの戦略の核心にある緊張関係を浮き彫りにする。すなわち、予測可能なキャッシュフローを生み出す市場支配力が、同時に慣性を生み出しているのである。数十年にわたって液体洗剤を販売してきた営業部隊にタイルを受け入れさせるには、化学と同じくらいの変革マネジメントが必要となる。
今後の展望
P&Gは今後数カ月のうちにTide evoを一部の小売店で販売開始し、2027年にも全米展開に踏み切る見通しである。価格は未公表だが、アナリストは技術面と包装コスト削減の両方を反映し、従来の液体洗剤に比べてプレミアム価格が設定されると予想している。
もし成功すれば、Tide evoは競合他社がこぞって参入する新たな製品カテゴリーを切り開く可能性がある。一方、消費者に受け入れられなければ、主流採用に至らなかった数多くの洗剤フォーマット実験の仲間入りをすることになる。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。